平成二十五年 七月十九日
たかね川柳会 定例句会
於 アイセル静岡

 

参加者(順不同)阿部天気、曽根田しげる

山田浩則、石上俊枝、勝又恭子、増田信一

加藤鰹、尾崎好子、佐野由利子、杉山光代

八木益代、長澤アキラ、望月弘、市川重雄

松田夕介、滝田玲子、山本智子、林二三子

中野三根子、成島静枝、南天子、畔柳晴康

薮﨑千恵子、西垣博司、酒井可福、川口亘

真田義子、濱山哲也、安田豊子、岡村廣司

薗田獏沓、中矢長仁、池田茂瑠、石田竹水

奥宮恒代、鹿野太郎、毛利由美、藤田武人

森田安心、川村洋未、酒井可福、栃尾奏子

森だがやん、恩田たかし、小林ふく子、中

司、鈴木まつ子、鈴木千代見、飯塚すみと

山本野次馬、渥美さと子、山本ますゑ、那

正、外側としみ、永田のぶ男、川口のぶ子

荒牧やむ茶、森下居久美、馬渕よし子

 

▽富山のお土産やら差し入れやら、やたらと景品が多い句会であった(笑)

 

席 題 「  煙  」 滝田 玲子 選

七輪がサンマのけむり忘れてる    弘

月末は煙になってしまいたい    夕 介

週刊誌さもない煙見逃さず     二三子

煙突の煙の先をみつめてる     三根子

あの人が来るとみんなを煙に巻く  三根子

けむったい人の気になる咳払い   好 子

燻製の番人 肉の香りつけ      智 子

平成の街に朝餉がけむらない     弘

愛煙家煙に巻くのが得意です    恭 子

寄付金にドロンと煙消える人    俊 枝

泣いたのは煙のせいと言う女    信 一

なぜかしら今日は煙が目にしみる  三根子

空高く母を見送る煙立つ      由利子

風の向きエントツ煙富士の町    俊 枝

やな人が来たぞと煙に巻いて逃げ  千恵子

恋破れ焼き捨てているラブレター  千恵子

湯煙の向こう父がいる母がいる   由利子

相棒のタバコの煙目に染みる    由利子

何にでも口出しすぎて煙たがれ   二三子

レンジでチン煙も出ない魚焼く   益 代

長老がただ居るだけで煙たがれ   益 代

田舎道ダンプの後の砂煙      由利子

五 客

煙に巻くつもり火種は持っている  恭 子

ふるさとに昭和の風呂が煙立つ   俊 枝

でかいミス小さなミスで煙にまく  信 一

秋刀魚焼く煙をわざとまき散らす  千恵子

うなぎ焼く煙も今や貴重だな     鰹

 人 位

喫煙へ冷たい視線そっと立ち    智 子

地 位

松明の煙にむせる盆供養      千恵子

 天 位

政治家の煙は早く消しておく    光 代

 軸 吟

SLの煙はロマンのせ走る     玲 子

 

 

 

宿 題 「忘 れ る」 中野三根子 選

歴史書に忘れてならぬ過去がある  野次馬

忘れる事覚えるよりも難しい    のぶ男

愛称で呼ばれ本名忘れられ     由利子

時間など忘れて友と長電話     由利子

忘れたと税務署員に駄々をこね   俊 枝

人招くことを忘れた招き猫     茂 瑠

戸締まりを忘れて戻るロスタイム  浩 則

適当に忘れボケない人がいる    澄 人

原点を忘れた脳が錆びている    天 気

記念日を忘れ居心地悪くなる    武 人

痴呆では無いと思うがよく忘れ   竹 水

指切りの針千本は何だっけ     竹 水

忘れてたでは許せない待ち合わせ  浩 則

物忘れ笑えるうちはご愛嬌     まつ子

忘れると立たされたっけあの廊下 だがやん

どちらさんですかと母に問われても ふく子

カップ麺できた頃にはなんだっけ  夕 介

なにもかも忘れてうれし空の旅   義 子

玄関の鍵の行方を追っている    千恵子

調味料忘れたらしい味が変     二三子

女子会にしばし忘れる恋の憂さ   としみ

レジ前で財布忘れて泡を食い    のぶ子

いやな事すべて忘れる耳探す    天 子

あれそれで済ます話の日向ぼこ   ますゑ

女房を忘れてみたい時がある    信 一

バイキング我を忘れておりました  居久美

愛しさが増す忘れると決めてから  奏 子

記念日を忘れて家に入れない    やむ茶

覚えないどうせ忘れてしまうから  夕 介

忘れてたふりする嘘はすぐばれる  益 代

催促をされて気が付く間の悪さ   玲 子

度忘れがひどくて両手よく喋る   益 代

五 客

嫌なことすぐに忘れる生き上手   恭 子

家を出る何もなかったことにして  アキラ

置き忘れ仕舞い忘れに大騒ぎ    好 子

確執を忘れて義母の介護する    博 司

都合よく忘れることもいい薬     亘

人 位

午前様0時で家を思い出す     安 心

 地 位

特技欄忘れ上手と書いておく    千恵子

 天 位

ひとつずつ忘れ白紙に戻る母    千代見

 

 

宿 題  「すいすい」 勝又 恭子 選

すいすいとスマホ使えぬ太い指   静 枝

すいすいと登れぬ山に膝笑う    光 代

すいすいと口先だけで泳ぐ人    長 仁

青空を抜けて銀河を泳ぐ夢     としみ

人脈というコンベアで出世する   千恵子

掃除機が滑るいいことありそうな  千代見

軽やかに生きてあの世に早く着く  アキラ

言い訳はすいすい出るぞ慣れたもの  だがやん

すいすいと泳ぐ形で昼寝の子    益 代

内科から四つを受診してお昼    太 郎

渋滞にベンツ横目にチャリが行く  俊 枝

エリートの道に赤信号はない    哲 也

凹凸の無い身で角を曲り切る    洋 未

スーダラで泳ぎ回っていた昭和   信 一

歩きスマホを縫ってゆくアナログ派 由 美

自転車に初めて乗れた朝の風    居久美

ラジオ体操第二すいすいとは出来ぬ ふく子

お隣のレジはベテランだったのか  夕 介

みずすまし泳ぐ昭和の夏休み    野次馬

基本から学べすいすい行ける筈   好 子

すいすいとスーダラ節で世を渡る  由利子

老人を置いてきぼりのスニーカー   弘

金曜日スイスイ泳ぐ夜の街     やむ茶

すいすいと行けるだなんて多分罠  廣 司

すいすいと抜かれ孤独になってゆく 博 司

二時間待ち御苦労さんとファストパス 鰹

五 客

信号運よくてメイクができません  由 美

世の波をすいすいかわすサングラス としみ

もめ事は見てみぬ振りで平泳ぎ   夕 介

スイスイと泳げないから味が出る  信 一

風と手を繋ぎ先ゆく好敵手     奏 子

人 位

五線譜の中を飛び交う赤トンボ    弘

 地 位

いつだって気楽に泳ぐ熱帯魚    義 子

 天 位

君の住む町へチャリンコ風になる   鰹

 

 

宿 題 「楽器の名前を詠み込んで」 加藤  鰹 選

尺八を吹けば首振り上手くなる   千恵子

尺八は下手でも首の凝りは取れ   可 福

尺八を今吹き終える風の音     アキラ

入歯だとハーモニカまで馬鹿にする 好 子

デイサービス懐メロ人気ハーモニカ 益 代

人生を語るハーモニカの響き    やむ茶

若ければギターぐらいは弾きたいね しげる

ギター弾くあなたと生きた青春譜  としみ

バタやんの胸にギターのかえり船  豊 子

元彼のギターを少しかきならす   三根子

祭り笛カバン投げ出し子が走る   玲 子

笛吹けばお化けが踊り逃げる客   信 一

横笛となると敷居が高くなる    由 美

縦笛の思い出だけば語れない   だがやん

フルートに口びる寄せて色っぽい  三根子

フルートの音色で詐欺は嘘をつく  哲 也

大太鼓腰をふりふりバチおどる   安 心

叩くのが礼儀太鼓を見かけたら   夕 介

ドラムソロ熱く命を響かせる    アキラ

子が巣立ち家を守っているピアノ  太 郎

ばら色の時間よ連弾のピアノ    奏 子

応援のラッパが熱いコンバット   居久美

凧祭り子どものラッパ意気をあげ  晴 康

健康美他に取り柄の無いラッパ   静 枝

ニニロッソトランペットの海にいる 野次馬

町内をうわさラッパを鳴らすバカ  安 心

チャルメラに負けて明日からダイエット だがやん

バラバラな園児纏めるホイッスル  竹 水

三味の音のチャンチキはやし皿叩く 重 雄

窓ガラス走り手をつきタンバリン  たかし

哀愁をこめた鼓弓の風の盆     玲 子

失恋のバラが聴いてるサキソフォン 由利子

最後のドだけまかされるハンドベル 恭 子

五 客

お隣りのピアノで猫が逃げていく   弘

歯ぎしりのような隣のバイオリン  博 司

おトイレのドアにベースが埋めてある

                 天 気

贈られたピアノが部屋をせまくする のぶ子

サキソフォン今夜はもしかもしかして  恒 代

 人 位

シンバルの音で目覚めるコンサート としみ

地 位

真夜中にコントラバスの牛蛙    由利子

天 位

ハープ弾くきっと美人に見えるから 恭 子

 

 

宿 題 「自 由 吟」 互 選 

⑥出てこない名前をア行から辿る  信 一

⑥雨の日は雨の楽しさ確かめる   三根子

⑥つまみ食いしながら学ぶ母の味  由利子

⑥割り勘と聞いたらピッチ上げた奴 廣 司

⑤噛み合わぬ話を丸く片付ける   しげる

⑤教科書の通り答えてまだ無職   博 司

⑤世渡りが下手で自戒の膝を抱き  まつ子

⑤美人ならきっと信用された筈   よし子

④寂しいと愛の浪費をしてしまう  さと子

④合掌に無沙汰を詫びる盆参り   益 代

③狼狽えた自分に腹が立つ電話   静 枝

③中年は腹から先に歩き出す     弘

③九条にお仕立て直しなどいらん  やむ茶

③消費税上がって小銭騒がしい   光 代

③手を抜いた花の答えはあわれなり 智 子

③止まる度トイレに走るバスツアー 二三子

③この愛とぬり絵に邪魔な枠がある 茂 瑠

②悲鳴上げ挙句笑った膝小僧    長 仁

②六角の鉛筆今日は手に馴染む   千代見

②炎天の空に涙の染みがある    野次馬

②山頂で線引きしないおらが富士  ますゑ

②あなたへの想いを綴るガラスペン としみ

②アルバムを剝した跡はマル秘です のぶ男

②台風一過やはりあなたと手を繋ぐ 奏 子

②滑り止め後顧の憂い払い除け    亘

②通院のペタルが阻む息使い    豊 子

②梅雨なのに聞こえてくるよホーホケキョ のぶ子

②炎天下汗も登っている遺産    ふく子

②旅に出ておいしい空気食べました 義 子

②長老の粋な着こなし三社祭    獏 沓

②何となくムカムカ腹が立っている 天 子

②賞味期限古希まで延ばす夫婦仲  重 雄

②未練たっぷり断捨離出来ぬ戦中派 玲 子

②デートでの彼女の返事大欠伸   可 福

②静けさが怖くてテレビ点けたまま 竹 水

②銀幕に私を映し出す影絵     武 人

②目立たないように夫の部屋を捨て 由 美

②グラスから今夜は涙湧いてくる  太 郎

②トーマスになったSL大人気   浩 則

②水田に命の動き見て笑え     好 子